読書感想文「心理的安全性の作り方」著:石井遼介

この本を読み終わったので感想文を書く。

 

1.本の概要

心理的安全性」をどう作るのか?という問題に対して「心理的柔軟性」というキーワードを軸に、読者自身が取れる行動をスタートとして「心理的安全性」の導入手法について解説した本。

 

2.読んで思ったこと・考えたこと

心理的安全性」というワード自体はいわゆる会社などの組織に関するものなので、どうしてもそれを作るには組織的な取り組みが必要だと思っていたが、実際はそうではなく自分自身の行動で少しずつ組織を変えていくことも可能なのかもしれないと素直に思った。この本では、「組織・チームとは『歴史』を背負っている」とされ、「歴史とは、一人一人の行動や結果と、組織や周囲の反応の積み重ね」とある。つまり、例えば「新しい提案をしたら部長から厳しい叱責を食らった」というのがあったとしたら、「新しい提案なんてしないで言われたことだけやろう」のような雰囲気が蔓延する、といったようにいろんな出来事の積み重ねが組織の中にはあると述べている。そこで、組織に「心理的安全性」をもたらすために、読者自身が「心理的柔軟性」のある人材になることで少しずつ組織を変えていこうじゃないかというのがこの本の提案だ(と私は思っている)。

 

---閑話---

「周囲の反応の積み重ね」ということの言いたいことは分かったのだが、それを実感してみたかったので、実はこの本を読んでみて1~2週間ほど意識してやってみたことがある。それは「挨拶を会社のどんな人にもしてみること」だ。そうすると、最初の1日2日は静かに挨拶が返ってくるだけだったが、先週はかなりいろんな人から挨拶が返ってくるようになった。なるほど、確かに積み重なってできていくのだと実感できた。

---閑話休題---

 

また、この本では「気持ち」ではなく「行動」にフォーカスして「心理的安全性」を作ることを説いている。そして「行動」とは「受け身・否定・結果」のような受動的なものではなく「自発された行動」としている。すなわち例えば、「テストがあるのに勉強をしない」と考えるのではなく、「テストが近いのに部屋の掃除をしてしまう」などというように置き換えて考えるということだ。そして、「行動」は大抵の場合「きっかけ→行動→みかえり」というフレームワークに収めることができるという。上の例で言えば「テストが近い」が「きっかけ」で「部屋の掃除」が「行動」であり、「テスト勉強をしなきゃいけないというストレスから解放される」などが「みかえり」にあたる。このように見てみると、なぜその行動をしてしまうのか?を知ることができる。そこで「個々人のそれを知って、行動を変えることを提案し、それに合わせた見返りを提供することでいい行動を増やしていけば、やがてそれらがいい『歴史』を作って『心理的安全性』ができるよね!」という流れで組織を再編していく手法が色々と書いてある。

 

そのときに重要になるのが「心理的柔軟性」なのだ。すなわち、個々人のついとってしまう行動やそこにある気持ちなどを読み取り、その人や組織の環境などの状況に合わせて対応することができるスキルが「心理的柔軟性」となる。わたし自身も日々意識してこれを習得できたらと思い、会社での振る舞いを考えるようになった。

 

以上、まとまりがないが所感である。